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父親たちの星条旗 [映画]

 

戦争を撮った写真の中でも「硫黄島に掲げられる星条旗」の写真は、多くの人が「あ、これ見たことがある」と思うような、有名な一枚です。でも、この写真はいかにして撮られたのだろう。写真に写っていた兵士たちは、その後「英雄」扱いされ、アメリカの戦時国債を募るキャンペーンに駆り出されるのですが、果たして彼らは本当に英雄だったのだろうか・・・。クリント・イーストウッド監督の映画「父親たちの星条旗」は、そんな問いかけから、戦争の愚かさ、残酷さ、悲惨さを描いています。

映画を貫くメッセージは明確です。戦争に英雄なんていない。英雄は、それを必要とする人たちによって作られ、利用されるものにすぎない。そして、星条旗を掲げた問題の写真は、決して「間違いではない」のだけれど「真実の一部しか」伝えていなかったのです。実際、映画が明かす「真実」は、拍子抜けするようなものでした。

第二次世界大戦を描いた映画ですが、今の私たちにも決して無縁ではない話。星条旗を掲げた写真、そしてそれに沸く人々の様子が、イラクのバグダット陥落のときの映像とだぶって見えました。「戦争を美しく語る者を信用するな、彼らは決まって戦場にいなかった者なのだから」と、先日沢木耕太郎氏が朝日新聞に書いていましたが、この言葉は肝に銘じておかなければ、と思います。

 登場人物の名前と顔が最初なかなか一致せず、ストーリーがわかりにくかったのも事実ですが、イーストウッド監督はいい仕事をしたと思います(これまで監督としての彼の作品はあまり好きでなかったのですが)。来月には硫黄島決戦の日本バージョンが公開されます。こちらは、きっと今回のよりももっと悲惨なストーリーになるだろうな・・・・見るのがちょっとつらい。

それにしても、今回の映画、平日の昼間とあってガラガラでした。しかも観客の平均年齢の高いこと!

若者たちよ。ぜひ見てください。二度は見たくない映画ですが、一度は絶対見ておくべき映画だと思うのです。


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コメント 4

かえる妻

こんばんわ~♪ ヽ(=´▽`=)ノ
これ、夫が観たいと云ってたのです。
戦争は人が人を殺めるし、悲しみばかりで見たくない・・・。
そういう人も居るでしょうね。
でも、だからこそ見る勇気や、そこから学び取ることも大切だと思います。
過去に起きた、愚かな歴史を繰り返さない為にも、必要なのではないかなと。
by かえる妻 (2006-11-11 23:11) 

エッコ・ミ

かえる妻さん、コメントありがとうございます。
かなりエグイ場面もあって思わず目をそむけてしまいましたが、
実際の戦場はもちろんあんなものではすまないはずです。
戦争は殺し合いです。人を人でなくしてしまいます。そして、こんな
愚かなことが、今も世界のあちこちで起きていると思うと・・・。ふう。
by エッコ・ミ (2006-11-11 23:50) 

Hiji-kata

まったく同感です。
反戦の気持ちを絶やすことなく
次の世代に受け継いでもらうことが
何より大切ですね。
by Hiji-kata (2007-01-14 05:19) 

エッコ・ミ

土方歳三さま、ありがとうございます。
まず「知る」ことが大事ですね。
by エッコ・ミ (2007-01-14 09:46) 

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