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ザ・タウン [映画]

 公開初日というのに、観客が少ない。

 マスコミ各紙の映画評は非常に好意的だったのに。

 で、とても期待して見たのですが……残念。私の好みではありませんでした。

 トシとともに、この種の暴力にどんどん耐えられなくなっています。必要以上に人を殴ったり、蹴ったり、銃を頭に突きつけたり、撃ったり、車をぶつけたり、火をつけたりしないでほしいのです(必要以上に、と書きましたが、そもそもこうした行為を「必要」とは思っていません)

 まあ、でもその分、人物がしっかり描けていれば納得できたハズですが、人物描写も薄っぺらい。ストーリー展開にも無理があり、「んなわけないでしょ」とツッコミを入れたくなるところが何箇所もありました。

 予告編で見た「英国王のスピーチ」に期待します。

 そうそう。話はまったく違うのですが、東宝シネマズで本編の前に上映している「紙兎」が、今月もたいへんおもしろかったです。アキラ先輩、そろそろ「就活」が気になっているようです。

最後の忠臣蔵 [映画]

年の瀬。大掃除がまったく手つかずなのに、現実逃避のため映画館に
向かってしまいました。日経新聞の映画評を読んで気になっていた
「最後の忠臣蔵」。夜8時半からの回だったので、ガラガラでした。

忠臣蔵は歌舞伎でよく観ますし、ときどきテレビの時代劇でもやって
いるから、ある程度はなじみがあります。しかし、主君の命で討ち入り
に加われなかった二人の武士に焦点をあてた今回のストーリーは
とても新鮮でした。そして、その二人を佐藤浩市と役所広司が演じている
となれば、おもしろくないわけがない。
特に役所広司の演技は本当にすばらしかったです。
(以下、若干のネタバレ注意です!)

「忠義」なんていう言葉は、いまの若い人たちには通じないでしょうね。
ひたすら忠義のために、16年間堪え忍んだ二人が、二人にしかわかり
えない心を通わすシーンでまずウルウル。後半は涙が止まりません。
お姫様役の桜庭ななみちゃんが、かわいくて、演技もうますぎないので
逆に初々しくて、はまり役でした。
大石さまを片岡仁左衛門さまが演じていたのもうれしい。
随所に散りばめられる人形浄瑠璃もいいアクセントでした。
お嫁入りの松明のシーンも美しい。

最後、タイトルの意味がわかります。
こうするほかはなかったんですよねえ。好きではない終わり方
だけど仕方がなかったと思うのです。

今年観た映画のなかで堂々のベストを年末に観ることが
できました。大掃除は結局あとまわし。年が明けてしまいそう。

トイ・ストーリー3 [映画]

マイケル・ムーアがツイッターで絶賛していたので観てきました。
3D版です。お子様率高し。でも、これは大人が観ても十分楽しめ、
切なくて泣けてくるお話です。

子どものころ、私も映画の中に出てくる女の子のように、
人形たちに「人格」や役割を与えて遊ぶのが大好きでした。
ぬいぐるみや人形たちを2列に並べ、よく学校ごっこをしました。
私は校長先生です。彼らに何を教えていたか、記憶は定かでは
ありませんが、とにかく「空想の学校」で何時間でも遊ぶことが
できました。

クマのぬいぐるみとバービーとの悲恋ものも好きでした。
周囲に大反対されても結婚した二人(?)を、音楽にのせて
ダンスさせたものです。

ほとんどの人形たちはもうとっくに捨ててしまいましたが、
「ケン」という名の犬のぬいぐるみは今も持っています。
なんと40年以上も!

今日の映画を観て、いま残っている人形たちはこの先ずっと
私のそばを離れないだろうな、と思いました。


インビクタス負けざる者たち [映画]

実話を基にした作品であることにまず驚く。こんな「映画」のようなドラマがあったとは!
そして、ネルソン・マンデラの偉大さに改めて敬服する。
「赦す」ということ。「和解する」ということ。
27年もの間、狭い監獄で自由を奪われながら、「敵」をこそ「仲間」に変えてしまうマンデラ
の大きさ。その信念が人々を、そして国を変える奇跡になっていくのを見ていると、
こちらまで勇気がわいてくる。

映画のなかで紹介される「インビクタス」という詩。収監中のマンデラ氏を支えた、という
言葉が印象に残る。

I am the master of my fate:
I am the captain of my soul

私は我が運命の支配者
我が魂の指揮官なのだ

モーガン・フリーマン、マット・デイモンの「なりきり」演技も素晴らしいです。

98点。

「沈まぬ太陽」と「This Is It」 [映画]

立て続けに話題の映画を2本観た。

「沈まぬ太陽」。
上映時間の長さはまったく感じなかった。
女の世界のドロドロも面倒だけど、男の世界のドロドロはほんと、おぞましいわ~。
「清濁併せ呑む」のをよしとする、ことで企業や政治は動いているんですねえ。
「幸せってなんだっけ、なんだっけ♪」というさんまさんのコマーシャル歌が、映画を見終えてしばらく私の頭の中で鳴り響いていました。

正攻法の作品だけに、細部のリアリティがもう少しほしかったなあ。
三浦友和はけっこう頑張って悪役になっていました。
渡辺謙はかっこいいです。
70点。

「This is it」
期待した以上によくできた作品。
マイケルの見方も大きく変わりました。
本当に素晴らしい才能、最高のエンターテナーをなくしてしまいました。

コンサートを作り上げていく過程が実におもしろい。
世界中から集まったスゴイ才能の持ち主たちが、みんな一生懸命で、それでいて
楽しそうで、生き生きとしていて。
これぞ「プロフェッショナル」だなあ。

マイケルはそんな中でもオーラが違う。50歳であのからだの「キレ」!
そして歌声の美しいこと。仕事に対する姿勢は驚くほど謙虚で、一途でした。

観ていて思わずこちらまで踊りたくなってしまうんです。
もちろん、家に帰って早速いろいろ真似てみたんですが、どうやっても
どじょうすくいか、阿波踊りか、単なるヘナヘナ踊りにしかなりませんわ。

環境問題をいますぐ、どうにしかしなくては!
鏡の中の人(つまり自分)を見つめ、まずは自分から何か行動を起こそう!
というのが、マイケルの遺言のような気がします。
120点。もう一度観たいぐらい。




バベル [映画]

遅ればせながら「バベル」を観た。
好きか嫌いか、と問われれば、あまり好きではない作品。
悪気はなかったのに、ちょっとした「バカな間違い」から人生がガラガラ崩れてしまう、っていうのは傍から見ていても苦しいものだ。

モロッコ、メキシコとアメリカとの国境、そして東京。
3か所の舞台で起こる別々のできごとが、実はつながっている。

キーワードは「ディスコミュニケーション」だろうか。
言葉が通じない異邦人。耳が聞こえない聾唖者。あるいは、いくら訴えても言い分が通らない不法滞在者。思いが通じないことの不安やいらだち、絶望と孤独感が全編を貫いている。言葉が通じあうはずの家族や友達とのコミュニケーションも、決して簡単ではない。私の話を聞いて! なぜ私のことをわかってくれないの! 「豊か」な国に生きる人たちの叫びが、ヒリヒリと胸をこする。

「砂漠」が象徴的に用いられている。荒涼としたモロッコの砂漠が暗示するのは物質的な「貧しさ」。アメリカとメキシコとの国境に横たわる砂漠は、豊かさと貧しさとを分断する広大な壁だ。そして、大都会東京の、ネオンまたたく砂漠。砂漠の中にあって、人はかくも小さく無力なのだ、ということを映画は見せつける。

映画の中で唯一救いがあったのは、アメリカ人のカップルだった。ヘリコプターを使って力づくで砂漠から逃れることができたアメリカ人は助かり、モロッコの貧しい少年やメキシコ人の乳母、いわば砂漠に残された者たちは裁きを受ける。弱い者たちに救いがない、という点においても、やっぱり私はこの映画、あまり好きでない。






硫黄島からの手紙 [映画]

今年見た最初の映画です。「父親たちの星条旗」同様、アメリカ人のクリント・イーストウッド監督がこのようにフェアで冷静な反戦映画を撮ったことにまず敬意を表したいと思いました。

目をそむけたくなるような残虐なシーンも少なくないのですが、実際の「硫黄島」はあんなものではない、もっと悲惨な、想像を超える残酷な戦いであったことを去年見たNHKスペシャルで知りました。

硫黄島という名前が示す通り、まず硫黄の匂いが凄まじかった。グツグツと、文字通り地獄のように硫黄が地面から噴き出していたりします。日本兵は地下に壕を掘って、そこに潜伏するわけですが、地下壕内の温度は40度。太陽が上がっているうちは決して壕から出ることなく、狭く暗い壕の中で息をひそめているわけです。映画にも少し出てきますが、私などはトイレがすごく気になってしまい、それを考えただけで気分が悪くなってしまいます。水や食料はどんどん底をついていきます。一方、別の壕から逃れた兵士、負傷した兵士たちが、限られた壕に集まり、中の息苦しさはいかばかりか・・・食べ物がなくなれば、壕の中ではどのようなことが起きるのか・・・・想像するだにおぞましい光景です。

米軍は5日で硫黄島が陥落すると思っていましたが、実際の戦いは1ヶ月以上に及びます。そして、1ヶ月過ぎても、決して降伏することを許されず、「最後の最後まで戦え」と命令されていた日本兵は、壕の中で耐え続けました。米軍は日本兵を壕から煙であぶり出そうとし、それでも出て来ないとわかると、壕の中に海水を注ぎ込み、しかもその海水に油を浮かせて火をつけた(!)そうです。

人間が人間でなくなってしまう。それが戦争の姿です。

防衛庁が防衛省になり、都知事が特攻隊を美化するような映画を制作しているいまの日本では、戦争のリアルさがどんどん薄められているように感じます。


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ベニスに死す [映画]

NHKのBSで先日来ヴィスコンティ映画特集をやっています。昨夜はあの名作「ベニスに死す」。若いころ観たときは、主人公の老作曲家アッシェンバッハの気持ちがいま一つ理解できませんでした。それどころか、ちょっと「キモイ」おっさん・・・といった目で見ていたフシがあります。←自分の幼稚さを深く反省

今回、トシをとって改めてこの映画を観てみると、アッシェンバッハの苦しみや哀しみが痛いほど伝わってきて、全編を流れるマーラーの交響曲第五番のアダージェットを聴きながら涙がジワジワとにじみ出てきました。

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父親たちの星条旗 [映画]

 

戦争を撮った写真の中でも「硫黄島に掲げられる星条旗」の写真は、多くの人が「あ、これ見たことがある」と思うような、有名な一枚です。でも、この写真はいかにして撮られたのだろう。写真に写っていた兵士たちは、その後「英雄」扱いされ、アメリカの戦時国債を募るキャンペーンに駆り出されるのですが、果たして彼らは本当に英雄だったのだろうか・・・。クリント・イーストウッド監督の映画「父親たちの星条旗」は、そんな問いかけから、戦争の愚かさ、残酷さ、悲惨さを描いています。

映画を貫くメッセージは明確です。戦争に英雄なんていない。英雄は、それを必要とする人たちによって作られ、利用されるものにすぎない。そして、星条旗を掲げた問題の写真は、決して「間違いではない」のだけれど「真実の一部しか」伝えていなかったのです。実際、映画が明かす「真実」は、拍子抜けするようなものでした。

第二次世界大戦を描いた映画ですが、今の私たちにも決して無縁ではない話。星条旗を掲げた写真、そしてそれに沸く人々の様子が、イラクのバグダット陥落のときの映像とだぶって見えました。「戦争を美しく語る者を信用するな、彼らは決まって戦場にいなかった者なのだから」と、先日沢木耕太郎氏が朝日新聞に書いていましたが、この言葉は肝に銘じておかなければ、と思います。

 登場人物の名前と顔が最初なかなか一致せず、ストーリーがわかりにくかったのも事実ですが、イーストウッド監督はいい仕事をしたと思います(これまで監督としての彼の作品はあまり好きでなかったのですが)。来月には硫黄島決戦の日本バージョンが公開されます。こちらは、きっと今回のよりももっと悲惨なストーリーになるだろうな・・・・見るのがちょっとつらい。

それにしても、今回の映画、平日の昼間とあってガラガラでした。しかも観客の平均年齢の高いこと!

若者たちよ。ぜひ見てください。二度は見たくない映画ですが、一度は絶対見ておくべき映画だと思うのです。


で、ラビット・フットって何? [映画]

先日の雨ふりの休日。夫と近所の映画館で「MiⅢ」を観てきました。

ⅠもⅡも観ていなくて・・・

「ミッションって何?」「さあ・・・。トム・クルーズが何か不可能なミッションを任されるんでしょ」「誰に雇われてるのかなあ?」「国家じゃないの?」

なんていう具合に、例によって予備知識ゼロの二人。

イナカのしょぼい映画館で、「あいている席は前から1列目か2列目のみです」。

ひゃあ~。のっけからきついミッションだ~。とため息をつきながら、前から2列目、スクリーンを見上げました。近すぎ!!トム・クルーズの顔が越前クラゲのようです。

昔、テレビでピカチュウを見ている最中に子どもが失神する事故が起きたけれど、こんなに近くでMiⅢを観て、私は大丈夫だろうか・・・。

なんていう心配をよそに映画が始まり・・・・・・結果

               大満足

期待していた以上にワクワクハラハラドキドキの作品でした。夏のじめじめムシムシした日には、こんな「何も考えずにスカッとできる」映画はお勧めかもしれません。(以下ネタばれ注意です。これから映画を観る方、読まない方がいいです)

 

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