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バベル [映画]

遅ればせながら「バベル」を観た。
好きか嫌いか、と問われれば、あまり好きではない作品。
悪気はなかったのに、ちょっとした「バカな間違い」から人生がガラガラ崩れてしまう、っていうのは傍から見ていても苦しいものだ。

モロッコ、メキシコとアメリカとの国境、そして東京。
3か所の舞台で起こる別々のできごとが、実はつながっている。

キーワードは「ディスコミュニケーション」だろうか。
言葉が通じない異邦人。耳が聞こえない聾唖者。あるいは、いくら訴えても言い分が通らない不法滞在者。思いが通じないことの不安やいらだち、絶望と孤独感が全編を貫いている。言葉が通じあうはずの家族や友達とのコミュニケーションも、決して簡単ではない。私の話を聞いて! なぜ私のことをわかってくれないの! 「豊か」な国に生きる人たちの叫びが、ヒリヒリと胸をこする。

「砂漠」が象徴的に用いられている。荒涼としたモロッコの砂漠が暗示するのは物質的な「貧しさ」。アメリカとメキシコとの国境に横たわる砂漠は、豊かさと貧しさとを分断する広大な壁だ。そして、大都会東京の、ネオンまたたく砂漠。砂漠の中にあって、人はかくも小さく無力なのだ、ということを映画は見せつける。

映画の中で唯一救いがあったのは、アメリカ人のカップルだった。ヘリコプターを使って力づくで砂漠から逃れることができたアメリカ人は助かり、モロッコの貧しい少年やメキシコ人の乳母、いわば砂漠に残された者たちは裁きを受ける。弱い者たちに救いがない、という点においても、やっぱり私はこの映画、あまり好きでない。






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