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ヴェニスの商人 [映画]

映画「ヴェニスの商人」を観てきました。

16世紀のヴェネツィアを見事に再現した映像のすばらしさ(16世紀にすぐタイムスリップできるヴェネツィアってすごい!)、そして何よりもシャイロック役のアル・パチーノの名演で、実に見応えのある作品に仕上がっていました。

「ヴェニスの商人」といえば、シェイクスピアの戯曲の中でも最も人気が高く、日本でも最初に上演されたシェイクスピア劇なのだそうです。でも、私はなぜかこれまで芝居で観たことがありませんでした。

映画がおもしろかったので小田島雄志訳の白水Uブックスも買い、解説などを読んでみましたが、もともとはシャイロックは喜劇役者が演じ、「ヴェニスの商人」というのも「喜劇」として演じられていた、と知ってびっくりしました。

あれだけ差別され、虐げられ、抑圧された中でのシャイロックの行動を、どうやったら「喜劇」にできるのか、私には全く想像がつきません。

今回の映画ではシャイロックの悲劇、哀しみ、苦しみを、パチーノが熱演し、私には心底シャイロックがかわいそうに思えましたが、シェイクスピア自身はどういう意図でこの戯曲を書いたのか、興味をそそられました。

 


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映画「シンデレラマン」を見るには・・ [映画]

体力がいります。

ボクシングの試合のシーンがとても多く、見ている方も結構からだに力が入ってしまいます。ズボズボとボディーブローがきいてきて、わたし膝の上の荷物を床に落としてしまいましたよ。ああ、シンド・・・。

で、この映画。

まず宣伝がうまいです。テレビコマーシャルで勘三郎さんや井筒カントクや蜷川さんやはなさんが絶賛しているじゃないですか。ほかならぬこの4人に言われたら、気になって仕方がありませんもの・・・..ね。

でも、どうせアカデミー賞狙いでしょう。家族愛を売り物にしたお涙ちょうだいものでしょう。私、だいたいボクシング嫌いだし。

って、思いながら見るわけです。男の夢だ、ロマンだ、っていったって、結局私はオンナだから、どうしても妻の方に感情移入してしまうし・・・

ところが、そうやって斜に構えながら見ていても、後半のある場面でツボにはまってしまい、不覚にも涙がジワジワ・・・。最後の試合のシーンではまさに手に汗握り、マディソン・スクエア・ガーデンの観客の一員と化している自分がおりました。ああ、なんて素直で単純なわたし・・・。てゆーか、最初からもっと素直な気持ちで見なさい、ってことなんだけど。

ラッセル・クロウ演じるボクサーのマネージャー兼トレーナー役、最近どこかで見たな、と思ったら、「サイドウエイ」でワインの蘊蓄をたれていた、あの冴えない中年男でした(ポール・ジアマッティ)。ほんと演技うまいです、この人。「サイドウエイ」も、今回も、実にいい味出しています。ラッセル・クロウの名演と同じくらいniceをあげたいです。

で、総合評価は・・・・10点満点で7.5点かな。

シンプルでわかりやすい映画だけに、余韻は短いかも。そして、見終わったいま、本当にからだがグッタリしています。やっぱりボクシングは嫌い。


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サイドウェイ [映画]

このところ映画をよく見ます。昨夜はDVDで「サイドウェイ」を。カリフォルニアのワインロードが舞台というので、前から気になっていたのです。

結論から言うと、かなりおバカな映画です。国際線の飛行機の中で時間つぶしに見るにはちょうどいいけど、劇場に1800円出して見に行かなくてよかったな、って正直思っちゃいました。

でも、主人公の冴えない中年男の、ワインへのこだわりがなかなかおもしろくて。とにかくピノ・ノワールを愛している。リースリングも最近はいいな、と思う。カベルネは嫌い。メルローは許せない。・・・などなど、ワインのことを語りだしたら止まらない、というおっさんです。

61年のシュヴァル・ブランを後生大事に持っていて、最後にやけのやんぱちで飲んでしまう場面が出てくるんだけど・・・あれ?シュヴァル・ブランってカベルネ主体、メルローも入っているんではなかったっけ?

まあ、おバカだ映画ではあったけど、ワインを飲みにカリフォルニアに行ってみたいな、って思ったし、いまこれを書きながらもワインが恋しくなってきました。うちには残念ながらカリフォルニアワインはないけれど・・。

 


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ペンギンはやっぱり大変でした [映画]

「皇帝ペンギン」観てきました・・・。

bee。さんの言う通り、私が想像していたよりもはるかに、ペンギンの人生(?)は過酷で大変なものでした。私ならマイナス40度、時速250キロのブリザードに力尽きて、眠りについてしまうか、モタモタ歩いているうちに行進の仲間からはぐれてしまうか、はたまたヒナのうちに凍えてしまうか、鳥に食べられてしまうか・・・・とにかく絶対生き残れそうにありません。

ああ、生きるって、なんてけなげで大変で、自然と一体の営みなんだろう!オスは120日間も絶食してヒナを守ります。今日メスが海から戻ってきてくれなければ、もう力尽きる、という日に、メスはちゃんと戻ってくるんです。手帳や携帯がないのに、ね。そしてオスもメスも、月や星や太陽や、地球の磁力だけを頼りに、毎年正確に、ちゃんと生まれ故郷に帰っていくのですよ(渡り鳥もそうですね)! あまりにもすごすぎる!!列をなし、黙々と氷の大陸を行進する姿は、高貴な巡礼者の列のようでした。

日本の出生率の低下が叫ばれているけれど、ペンギンの世界は大丈夫なんだろうか、と心配になりました。だって、一回に生まれるのは1頭だけで、卵の段階で死んでいくもの多数。無事卵がかえっても凍え死んだり、外的に襲われたりで、生存競争はきっついんです。これでやっていけるんでしょうか・・・・。

ペンギンもすごかったけど、1年と120時間費やして撮影した監督もすごい。氷の下の海のシーンなんて、いったいどうやって撮影したのだろう?

 


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映画「輝ける青春」 [映画]

岩波ホールで上映中のイタリア映画「輝ける青春」を見ました。

なんと、上映時間6時間6分!(途中お昼の休憩が30分)

飛行機に乗ったらオーストラリアまで行けちゃいそうな長さです。私の隣の席のじいさんなんぞ、途中何度もいびきかいていたぞ。

でも、6時間が不思議と長く感じられず、なんとも心地いい時間でした・・・。私はおもしろい本を読み出すと、何時間でも読み続けてしまうのですが、この映画も良質の長編小説を読む楽しさがありました。

イタリアのある家族の物語。時代は1966年から37年間をカバーし、場所もローマ、フィレンツェ、ミラノ、トリノ、シチリア、トスカーナ州ヴァル・ドルチャと多岐にわたります。ああ、ローマだ! フィレンツェだ! と、町並みを見ているだけでもイタリア好きにはたまりません。

60年代後半の若者たちの「異議申し立て」、反体制の運動、マフィアとの闘い、政治腐敗、といった社会的、政治的な背景を縦糸に、主人公たちのさまざまな出会いや別れ、喜びと苦悩、葛藤、挫折、友情などが横糸に織り込まれていきます(イタリアの「赤い旅団」が元首相を誘拐・殺害したのって、1978年、つい最近のことだったのですね)。イタリアの社会情勢や問題がいろいろ描かれていて、興味深いものがありました。

主人公のニコラ、見た顔だな、と思ったら「ペッピーノの百歩」の主役を演じた人でした。彼をはじめ、出ている役者がみなとてもうまいです。

いろいろな事件が起きるけれど、「輝ける青春」というタイトルに納得。自分の青春と重ね合わせて、ちょっとキュンとします。そして、最後に出てくる台詞・・・

「トゥット・エ・ヴェラメンテ・ベッロ」(すべてが実に美しい)

が、この映画をひとことで言い表しているなあ、と思いました。

 それにしても、1966年の話をいまも何の問題なく町でロケできちゃうんだから、イタリアってすごいですよね。東京だったら、3年前と今とでもう景色が変わっている。最後の方で、金持ちの友人がトスカーナの朽ち果てた家を改築する場面が出てくるのですが、日本だったら絶対全部壊して一から建て直すところです。

          

左が主人公のルイジ・ロ・カーショ。右はその弟役のアレッシオ・ボーニ。役柄的にはあまり共感できなかったけど、なかなかbelloじゃないですか?


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皇帝ペンギンは大変だ [映画]

この夏、絶対見たい映画の一つが「皇帝ペンギン」。今朝の日本経済新聞の文化面に、その映画監督リュック・ジャケさんの寄稿が載っていました。

マイナス65度という厳寒の南極大陸で、皇帝ペンギンのオスたちは2ヶ月近くも何も食べずに、足の上に置いた卵を立ったまま温め続けるのだそうです。ひゃあー、大変だあ、と思ったら、メスはメスで、出産で疲れ果てた直後、エサを探しに海に戻り、4キロくらいの小魚、エビ、オキアミを胃に蓄えて、オスとヒナの元へ百キロ歩くのだそうです。うわぁ。

出産直後でからだが弱っているメスを使いに出さず、オスが行った方がいいんでないの?とか、ってゆーか、出産前に何とか食べ物を備蓄しておくことはできなかったのとか、いろいろペンギンさんたちに聞いてみたいのですが、詳しくは映画を見るしかないかな・・・・。

ところで、映画といえば、昨夜DVDでゴダールの「気狂いピエロ」を見ました。こういう映画は学生時代にでも見ておいて、「うん、ゴダールって、いいよね」みたいな台詞を飲み会なんかでサラッと言うと「おっ、ゴダールがわかるなんて、エッコ・ミもなかなかやるねえ」なんて尊敬されちゃったりしたでしょうが・・・・・・・

わ・・・わかりませんでした!

何が何だか、さっぱりわからない世界。ゴダールだから、すごいんだろう・・・という思いと、確かにギラギラとした南フランスの太陽の下の映像とか、しゃれた台詞や言葉遊びが随所にあって、フランス映画らしいといえば、らしいのですが・・・・・

だれか解説してください!あの映画は何を言いたかったの?


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木靴の樹 [映画]

更新が滞りました。だって、書こうとすると

「ページが表示できません」か「緊急メンテナンス中

なんだもの! おーい!ソネットさあーん、しっかりぃー!

で、仕方がないのでDVDを見ました。イタリア映画の「木靴の樹」(エルマンノ・オルミ監督)。1978年のカンヌ映画祭で大賞となった長編(3時間!)です。

19世紀末の、イタリアの小作農たちの貧しくて、厳しくて、哀しい日常を、徹底したリアリズムで描いています。ドキュメンタリー映画ではないか、と思ってしまうほどのリアリズム。それもそのはず、出演者は全員北イタリア・ベルガモ近郊の人たちで(俳優は一人も出ていない!)、オールロケで撮影したそうなのです。夜になると外は真っ暗闇なので、画面も平気で真っ暗になってしまいます。誰が何をしているのか、よく見えないのです。音楽も流れません。効果音といえば、農民たちが農作業をしながら歌う歌や、教会の鐘の音が遠くに響くだけ。地主に搾取されながら、信仰心だけを支えに生きる農民たちの姿を静かに、実に淡々と、描いていくのです。

フェルメールやミレーの絵画を見るような映像が美しく、とても印象的でした。そして、タイトルにもなった「木靴の樹」の、あまりにも酷で、やりきれないエピソードは「自転車泥棒」にも通じるものがありました。

お茶目で陽気なイタリア人」というステレオタイプに反して、イタリア映画って、概してとても暗いですよね。なかなか一筋縄では理解しにくいイタリア社会の根幹を、かいま見た気がしました。

 

 


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映画「ローマの人々」 [映画]

有楽町でやっているイタリア映画祭のうち「ローマの人々Gente di Roma を観てきました。整理券が朝早くから配られていたとは知らず、開演50分前に行ってあせったのなんの。なんとか前の方の席に座れてよかったけれど、いやはやすごい人気なんですね、イタリア映画。びっくりしました。

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シリアル・キラー アイリーン [映画]

全米初の女性連続殺人犯。7人の男性を殺し、3年前に死刑を執行されたアイリーン・ウォーノスのドキュメンタリーです。

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「21グラム」は重かった [映画]

映画「21グラム」を観る。21グラムはとても軽いけれど、映画はずっしりと重かった。

メキシコの奇才アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の作品。前作「アモーレス・ペロス」が衝撃的でしたが、今回も期待を裏切らぬ出来でした。(ネタばれ注意)

ただ、前半、時系列がめちゃくちゃな状態でストーリーが紹介されているので、ついていくのが大変。あれ、なんでここでこの人とあの人が一緒にいるの? とか、なんでこの人が血を流しているの? とか迷っていると、またちょっと前の話に戻っていたりで、かなり混乱します。好き嫌いが分かれる映画かもしれません。

役者がみんなうまい。ベニチオ・デル・トロが神にすがり、裏切られ、そして自分の過酷な運命と向き合っていかざるを得なくなる様子などは、演技とは思えない迫力がありました。また「だれかの不幸を前提にしなければ幸福になれない」というショーン・ペンの役どころも、とても難しかったはず。さすがです。

かなり絶望的な映画ながら、ラストはそれぞれが絶望のどん底から、かすかな光を見い出したのではないでしょうか。映画の要所で出てきた言葉の通り、どんな場合でも「人生は続く」のだから。一人の人生(life)しかり。そして、たとえ命(life)を失ってもlife goes on ということがある・・・・。

 


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