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硫黄島からの手紙 [映画]

今年見た最初の映画です。「父親たちの星条旗」同様、アメリカ人のクリント・イーストウッド監督がこのようにフェアで冷静な反戦映画を撮ったことにまず敬意を表したいと思いました。

目をそむけたくなるような残虐なシーンも少なくないのですが、実際の「硫黄島」はあんなものではない、もっと悲惨な、想像を超える残酷な戦いであったことを去年見たNHKスペシャルで知りました。

硫黄島という名前が示す通り、まず硫黄の匂いが凄まじかった。グツグツと、文字通り地獄のように硫黄が地面から噴き出していたりします。日本兵は地下に壕を掘って、そこに潜伏するわけですが、地下壕内の温度は40度。太陽が上がっているうちは決して壕から出ることなく、狭く暗い壕の中で息をひそめているわけです。映画にも少し出てきますが、私などはトイレがすごく気になってしまい、それを考えただけで気分が悪くなってしまいます。水や食料はどんどん底をついていきます。一方、別の壕から逃れた兵士、負傷した兵士たちが、限られた壕に集まり、中の息苦しさはいかばかりか・・・食べ物がなくなれば、壕の中ではどのようなことが起きるのか・・・・想像するだにおぞましい光景です。

米軍は5日で硫黄島が陥落すると思っていましたが、実際の戦いは1ヶ月以上に及びます。そして、1ヶ月過ぎても、決して降伏することを許されず、「最後の最後まで戦え」と命令されていた日本兵は、壕の中で耐え続けました。米軍は日本兵を壕から煙であぶり出そうとし、それでも出て来ないとわかると、壕の中に海水を注ぎ込み、しかもその海水に油を浮かせて火をつけた(!)そうです。

人間が人間でなくなってしまう。それが戦争の姿です。

防衛庁が防衛省になり、都知事が特攻隊を美化するような映画を制作しているいまの日本では、戦争のリアルさがどんどん薄められているように感じます。


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かえる妻

こんにちは♪ ヽ(=´▽`=)ノ
いつもエッコ・ミさんのブログへ来て、お話を読むと深く頷いてしまいます。
今回の内容も、本当にその通りです。
戦争映画をかっこよく、美化しては絶対に駄目だと私も思います。
本当に戦争を経験して、現在もお元気にしていらっしゃる方が、戦争の映画は見られない・・・見たことが無い。
そう語っていたのが、忘れられません。
確かに、過ちを繰り返さない為に、後世に伝える為に必要だとは思います。
でも、その伝え方を誤ってはいけません。
複雑な世界情勢で、軍事力をどれ程保持するか?
全く持たない事は、難しいとは思います。
それを判った上でも、やっぱり戦争の無い世界になって欲しいと心から願ってしまうのです。
by かえる妻 (2007-01-09 12:15) 

エッコ・ミ

かえる妻さん。いつも私の拙いブログにとても的確で誠実なコメントを書いてくださり、本当にどうもありがとう。
戦争は絶対に絶対にイヤだ!このことだけは譲れません。
by エッコ・ミ (2007-01-10 21:55) 

キキ

はじめまして。こんにちは。

戦争はいやだ、人を殺したくない、死にたくない、と思っても個人の想いが通じなかった時代があったということを忘れないようにしなければいけませんよね。

時々訪問させてください。宜しくお願い致します。
by キキ (2007-01-14 15:28) 

エッコ・ミ

キキさま、こんにちは。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。

「赤紙」一枚で召集された時代がほんの60数年前にあったのですものね。絶対忘れてはいけない、と思います。
by エッコ・ミ (2007-01-15 22:07) 

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